すずめ歯科院長 鈴木宏治のブログ
後輩に伝えていくこと

上の写真は、患者さんからいただいた御年賀のものです。

この患者さんは、仙台第一高等学校の大先輩で、御本人のインテリジェンスも高く、色々とお話をしていただける方ですが、この御年賀をいただいた際にも、とても勉強になったため、ご紹介させて頂きました。

 

私が東北大学病院の医局に在籍していた時代に、初めは面倒だったり、非効率だと感じていたことがありました。例えば、飲みの席では、教授など目上の先生にお酌をするという行為や、色々な根回しについてです。

しかし、その当時教えていただいたり、お叱りを受けた細かな事柄が、一般常識として必要であったり、社会生活をしていく上で、とても重要であることが痛感されることが多く、今ではとても感謝しています。

 

お恥ずかしながら、未だに社会人として未熟な部分が多く、まだまだ無知で学ぶことが多いことがたくさんあります。「すずめ歯科」で勉強会を行った際に、遠方からいらっしゃった方が、お土産を持参してくることがあり、場所を提供したことに対する感謝を行動で示すという事を学ばせていただくこともありました。

今では、自分も手土産を用意するということができるようになりました。

 

この御年賀についても、とても多くの事を学ばせて頂きました。

やはり昔から行われている日本の文化を理解して、実行することが重要だということです。年賀状についても、若い頃は煩わしいと思っていましたが、遠く離れた知人の状況を窺うことができるというメリットがありますし、自筆で何かしら記すことで、コミュニケーションの1つになり得ます。

また、目上のものからの色々なプレゼント(実際の物品もそうですが、経験を基にしたお話や、言動、所作を見る機会自体も)は喜んで受けるべきということです。

この患者さんは、私にとっては、「すずめ歯科」に治療に来ていただいている患者さんではありますが、人生の先輩であり、母校の先輩でもあります。

何気なく話していただいている内容自体や、その所作からもとても学ばせていただく部分が多く、先輩として後輩に意図的に伝えてくださっているのではないかとも思うことがあります。

 

今後、「すずめ歯科」の手伝いをしてくれる後輩の先生方がまた増えるのですが、自分も先輩として、治療のことだけでなく、大事な事をさり気なく伝えていけるようになりたいと思っています。(さりげなくというのは、なかなか難しいことですが)

 

噛み合わせ、そして歯周病の新分類

1/7に、CLSというスタディーグループに参加させて頂きました。

初めに、「咬合挙上にて対応した咬合再構成の治療経験」というタイトルで仙台市の歯科医院に勤務している宮城先生から、3年という診療経験の中で、噛み合わせを変える治療についての発表をして頂きました。噛み合わせの位置決めは難しく、適切なポジションを確定するためには、顎の関節を基準にしたり、筋肉の活動電位を参考にしたり、顎の運動から推測したりという色々な考え方がありますが、平均値を基準にシンプルに噛み合わせを2mm程度変えることで患者さんが適応できる噛み合わせを作った症例の発表でした。

今回のようにシンプルな方法でスムーズにできたのは、色々な要因が絡んでいて、今後も同様の症例で同じような対策でうまくいくわけでもないと思いますが、3年という臨床経験で、しっかりと考えて治療を行ったことはとても有意義だったと思います。

自分の3年目のことを思い出しても、ここまで考えて治療できていなかったので、かなり頑張って治療に臨んでいることが分かり、感銘を受けた発表でした。

 

また、同じく仙台市の歯科医院に勤務している諏訪部先生からは、日本歯周病学会の認定医として「新しい歯周病の分類について」というタイトルで、アメリカの歯周病学会、ヨーロッパの歯周病学会が提唱した歯周病の分類が、日本でも利用されることになりそうだということで話をして頂きました。

アメリカの歯周病学会、ヨーロッパの歯周病学会の提唱した歯周病の分類については、当ブログで、ご紹介したことがあったかもしれませんが、私が学ばせていただいた札幌の池田先生からも、新分類の欠点等をお聞きしていましが、諏訪部先生からも、新分類の不明な点等を説明して頂きました。

他にも医科と歯科のどちらでもデータを利用できるように、分かりやすい炎症を指標にするという案も出ているという話も、以前当ブログでご紹介したかと思いますが、歯周病の分類の仕方については議論の余地がありそうです。

患者さんの「つながり」

あけましておめでとうございます。

昨年は、予約が取りにくい状態にも関わらず、「すずめ歯科」に通院して頂きありがとうございました。

今年は、昨年から非常勤の先生がまた増えて、わずかではありますが、予約の枠が少し増えることになりました。歯周病の治療や根の治療のスペシャリストの先生ですので、歯周病が進んでいる方は、非常勤の先生に一度診てもらうことを勧めることもあるかと思います。

 

写真は、年末に来院された患者さんからいただいたお菓子とお手紙の写真です。

全ての治療が終わるまでも期間がかかりましたが、熱心に通われて、治ってからも、大きな問題になる前にいらっしゃる自己管理のできている方ですが、いらっしゃる際には、我々のことも気にかけて頂き、写真のようにお手紙をくださる患者さんです。

 

組織をまとめる際には、同じ目標に向かうようにするのが大事だと言われていますが、すずめ歯科での目標は「当たり前のことを当たり前にやる」「自分が行きたいような歯科医院にする」という2点を目標にしています。

「当たり前」「自分が行きたい」という抽象的な目標であるため、主観的な評価になってしまう目標なので、客観的に評価をしていただける文章をいただけると、目標に向かってちゃんと進んでいるということが実感でき、とてもありがたいです。

 

また、お手紙の中に、ご親族を紹介してくださったお話もありました。実際に「すずめ歯科」の患者さん方は、お身内やお知り合いからのご紹介でいらっしゃる方が大部分を占めていますが、紹介があったやり取りなどが実例で示していただけると、とても参考になります。

 

また、毎年年賀状をいただけるご家族もいらっしゃいます。こちらも、いつも来院される時の明るいご家族の様子が伺えて、スタッフ皆でほっこりとさせていただいております。

 

今年も、このような皆さんの応援を糧に、精進する所存ですので、よろしくお願い致します。

 

お口の機能に対する治療

12/22に、日本歯科医師会の生涯研修セミナーに参加させて頂きました。

今回は、「歯科医療の原点と将来を見据えて〜生涯を通じた口腔健康管理〜」というテーマで、昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座の弘中教授から、「口腔機能の評価と支援〜発達不全と低下〜」というタイトルで、東京都健康長寿医療センター研究所の枝広先生から、「認知症高齢者の口腔健康管理〜食を通じた生活支援のために〜」というタイトルでお話を聞かせて頂きました。

 

弘中先生からは、お子さんの摂食嚥下リハビリテーションについてのお話をメインに聞かせて頂きました。

以前はモンゴルのお子さんの虫歯が少なかったのですが、現在は砂糖の摂取量の増加とともに虫歯が増えているようです。これは、アジア全体の問題でもありますが、日本では、お子さんの虫歯が減少している状況です。

虫歯は減ってきたのですが、「よく噛まない」「食べるにの時間がかかる」「偏食がある」という、食べる機能の低下が目立つようになっているのが問題になっています。

超高齢化社会の日本では、高齢の方の、お口の機能の低下が新たな治療として注目されていますが、お子さんのお口の機能の低下も問題になっています。

仮に、成長が終わった段階でのお口の機能が100だとして、お口の機能が70くらいまでしか発達しなかった場合、機能が100から減っていくのと、70から減っていくのでは、機能の低下に違いが出てしまいます。

現在のお子さんが、高齢になったときの、お口の機能を考えても、健全に成長するお手伝いをすることが重要だと考えられます。

 

低体重児や、遺伝子の異常、お口の乾燥、嗅覚の問題でも、摂食嚥下(食べたり、飲んだりすること)の障害が起きてしまいますが、母乳や哺乳瓶の使用期間が長かったり、立ったり歩いたりするのが遅かったり、食事を作る方の料理のスキルが低かったり、離乳食の与え方が悪かったりすることも悪い影響を与えてしまいます。

年齢ではなく、歯の生えている状態に応じて、離乳食を考える必要もあったりしますので、個人個人の成長の違いも考慮して、対応する必要があるようです。

 

今後、歯医者さんでは、このような問題への対応が増えていくと思いますが、皆さんもお困りごとがあれば、成長を改善するためにも、歯医者を受診するのが良いのではないでしょうか。

 

枝広先生からは、認知症のタイプによる、対応の違いについてお話をして頂きました。認知症に関して、とても多くのことを学ばせて頂きましたが、若干専門的な内容なため、ブログには記載しませんが、現在増加中の認知症の患者さんへの対応について勉強させて頂きました。

最新の研究結果から考える「虫歯」と「歯周病」

12/12に、「齲蝕と歯周病の最新の病因論ーパラダイムシフトとその背景ー」というタイトルで、東北大学大学院歯学研究科口腔生化学分野の高橋教授にご講演いただきました。

 

高橋教授は、私が学生の頃から生化学の教授で、先輩方からとても優秀な人とお聞きしていましたが、実際に、世界でも著名な研究者であり、人格者でもあります。

 

今回のご講演では、ご自身の研究結果も交えて、とてもロジカルで、新しい情報も含めた話を聞かせていただき、知識のアップデートができましたので、シンプルに列挙させていただき、皆さんにも参考にしていただこうと思います。

 

我々の身体の中で、最も細菌が高密度で存在しているのが、我々歯科が扱う、お口の中です。また、お口の中でも、歯茎の上と下では、環境が大きく変わるため、この細菌について考える際には、歯茎の上と下で分けて考える必要があります。

 

お口の中にある約500種の細菌の中で、歯茎の上で我々にとって不都合な働きをするのが、虫歯の原因になる細菌達です。

この細菌の中で有名な菌がミュータンス菌ですが、実際に歯を溶かす酸を作る菌はミュータンスだけではありません。今後も他の菌が見つかるかもしれませんが、ミュータンス菌以外のstreptococcusと、actinomycesが、はじめに歯を溶かす酸を産生して虫歯を作っていきます。

この酸が増えると、streptococcusもactinomycesもpHが下がった環境で生きていくのが難しくなり、数が減ってしまいます。

代わりに、酸性の環境で生き残ることができる、ミュータンスやlactobacillusがバトンタッチして虫歯をさらに進行させています。

 

歯茎の下で、悪さをするのは、歯周病の菌ですが、こちらの菌は砂糖ではなく、血液成分のタンパク質を栄養源にしています。

歯周病の原因菌として有名な菌には、PG菌がありますが、このP.g菌は酸素のあるところでは生存しにくいため、はじめにFusobacterium nucleatumやPrevotella intermediaという菌が働きます。

F.n菌やP.i菌は砂糖も栄養源にできるため、歯周病が進んでいない状態でも生存することができます。

さらに、もう1つの栄養であるタンパクが存在すると、酸を中性化することができ、歯茎の下で酸素が届かない空間ができてくると、P.g菌が増殖するというように、歯茎の上と同じように、バトンタッチして歯周病をさらに進めていきます。

 

また、細菌の研究で分かったことも列挙していきます。

インプラントの材料でもあるチタンでも、その表面に細菌が付着すると菌の活動により、腐食していくことが分かっています。

 

虫歯予防のフッ素のお薬は、菌が酸を産生する働きを抑制していることが真実だということも分かっています。

また、キシリトールは、菌が酸を産生する働きを抑制できないことも分かりました。(砂糖の代わりの甘味料として、菌の栄養にならない甘味料ではあります)

 

また、口の中の細菌がアルコールをアセトアルデヒドに変えることや、野菜の中に含まれる硝酸塩を亜硝酸塩に変化させることも分かっているようです。

 

今まで分かっていることの、データに基づいた再確認と、新規の情報のアップデートができたため、歯科の分野の2大疾患について認識が深まるとても貴重な体験になりました。

がん治療前後の歯科治療

12/7に、周術期講演会に参加させていただきました。

meiji seika ファルマ株式会社の中野さんから、エピシルという、がんの治療後に生じる口腔粘膜炎に対する保護材についての説明をしていただきました。

口腔粘膜炎は、症状が強いとがん治療も中断してしまうことがあるので、口腔粘膜炎に効果的なこの保護材は、とても有用だと感じられました。

 

仙台医療センターの歯科衛生士、平吹さんから、「口腔粘膜炎に対するエピシルの使用について」というタイトルで、仙台医療センターさんで、どのように口腔粘膜炎に対処しているのか教えていただきました。

 

東北大学大学院歯学研究科の予防歯科学の岩永先生からは、「がん治療に伴う口腔粘膜炎対策〜当院での口腔粘膜保護材(エピシル)の使用経験〜」というタイトルで、大学病院での対処法についてもお話をしていただきました。

 

エピシルは最近、保険収載された材料なので、実際にどのように患者さんが効果を感じて、病院の先生方がどのように使用しているのかという情報は、今後使用する際にとても参考になります。

 

「すずめ歯科」でも、口腔粘膜炎で困っている周術期の患者さんがいらっしゃれば、この講演会を参考にさせていただこうと思います。

スズと虫歯予防

12/5に、株式会社能作の能作社長の特別講演会に参加させていただきました。

能作さんは、鋳物の工場を柱とする会社ですが、本社工場のツアーを行ったり、地域活性にも積極的のようです。

 

能作さんの、今までの経営のスタンスなどの話も面白く、伝統産業を少し変化させて現代的にしたりする発想の転換も勉強になりましたが、今回、歯科にも関係する話があったので、少し紹介させていただきます。

 

虫歯の予防に効果のあるフッ化物には、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズの3種類あります。

「すずめ歯科」では、この3種類に対応する歯磨剤も販売していますが、そのうちの一つのフッ化第一スズは、お口の中の菌を減らす効果もあります。

 

株式会社能作さんでは、100%のスズを鋳造して作った、曲がる食器などもあるそうですが、スズには、光触媒で味を変える効果があるらしくお酒の味が美味しくなったりするそうです。

さらに、このスズには、抗菌活性もあるそうで、色々な菌を99%以上減少させる実験結果もあるそうです。その中でも、99.9%の抗菌活性を認める菌があるのですが、それが「ミュータンス菌」だそうです。

 

フッ化第一スズの菌を減らす効果は、この抗菌活性に由来するのではないでしょうか。

歯科と直接関係のない講演会でも、色々と繋がってきます。やはり、多分野の情報をインプットするのはとても勉強になることが分かりました。

 

フッ化第一スズの入っている歯磨剤が気になった方は、受付で聞いてみてください。

総入れ歯の勉強会

12/1に、総入れ歯のスタディーグループ:五反田会さんのオープンセミナーに参加させていただきました。[The Next Generation Complete Denture]というタイトルで、河原先生というリマウントという方法で著名な先生のノウハウに熟知した、九州の技工士の古賀さんから「臨床が変わる!義歯新製時こそ重要な旧義歯リマウント調整」。

歯周病治療などでもご活躍の矯正医、綿引先生の「矯正専門医から診た総義歯診療とは?〜矯正診断学の総義歯治療への応用〜」。

世界一とも言われる技工士の岩城さんの「e-dentureシステムのご紹介」。

入れ歯の専門医として新進気鋭の松丸先生からは「The Clinical Priority for Good Complete Denture Construction」。

岩城さんのBPSエステティックデンチャーを極めるを受講され、その後オブザーバーとしてご活躍の技工士の田中さんからは「DrとDtの共通認識で患者満足度を上げる〜特に咬合調整について〜」。

五反田会の若手歯科医師の大滝先生からは「下顎義歯の外形が浮き上がりに影響する〜治療用義歯により機能回復後、回復した機能に合わせた義歯の外形調整を行うことで義歯吸着に成功した症例〜」。

五反田会代表の相澤先生からは、「ボーダーを超えてゆけ!〜自費治療、印象、患者満足度の観点から〜」

九州の病院歯科でお勤めの鈴木先生からは、「義歯と舌圧と私」

ランチョンセミナーとして、北海道で自費診療のみを行っている歯科医院で活躍されている衛生士の北山さんからは、「当院のカウンセリングの取り組みと有床義歯カウンセリング成約500症例の軌跡(奇跡)〜2001年12月開業から2019年6月までの18年6ヶ月の歩み〜」

 

以上、9名もの方からのボリュームたっぷりな講演を聞かせていただきました。

 

古賀さんからは、河原先生のリマウント(入れ歯の噛み合わせを確認し、咬合器と呼ばれる装置に、付け直して、噛み合わせの調整を行う方法)の際に、どのように噛み合わせを調整しているのかという話を実例を交えて聞かせていただきました。会場にいた、入れ歯の治療で有名な知人の先生は、その場で河原先生の書籍を購入していました。

 

綿引先生は、矯正医としての視点から、矯正医として有名なDr.Angleは元々入れ歯の教授だったのが、矯正の教授になったことも例に挙げて、矯正と入れ歯の話をしていただきました。綿引先生は、入れ歯の方にもMFTという筋肉の訓練が必要ではないかと提唱されていました。また、骨格により、メインの噛む筋肉が異なる話も興味深かったです。8020を達成している方に、噛み合わせの違いは無いようですが、下の顎が大きい、俗に言う「しゃくれている」方に、8020を達成している方がいなかったという論文を紹介されていたので、私も読んでみようと思いました。

 

岩城さんからは、ご自身の開発したe-dentureというシステムの紹介をしていただきましたが、岩城さんがどう考えて入れ歯を作っているのかが分かるご講演でした。

 

ランチョンセミナーでお話をされた北山さんは、勤務されているクリニックの実際についてお話をいただきましたが、他の歯科医院の経営の話を聞くことはあまりないので、貴重な情報をいただきました。

 

松丸先生は、総入れ歯の治療のみをされていて、技工士さんのように義歯まで作ってしまう、とても技術も知識も高い先生ですが、総入れ歯を作るに当たって、ベーシックで重要な知識と技術について惜し気もなく披露していただきました。松丸先生のご講演はいつもスタイリッシュで、分かりやすく、公園のスタイルについてもとても勉強になります。

 

田中さんは、ご自身が立ち会って入れ歯を作る際の実例を動画でもたくさん見せていただき、参考になる点がたくさんありました。

 

大滝先生は、総入れ歯の内容としては、一般的なものでしたが、お若い先生なのにとても熱意のあるご講演で、頑張っているなぁというのが見える、フレッシュなお話でした。

 

相澤先生は、保険の入れ歯は2年の耐用年数しかないというデータを紹介していただき、ちゃんとした入れ歯を作るには、時間も技工士さんの労力も、材料のコストもかかるので、患者さんに自費の入れ歯についてきちんと説明すべきというお話をしていただきました。また、ご自身は「人のパクリ」と揶揄していましたが、色々な先生のノウハウを学んで、ミックスして現在の診療体系を作られているということでしたが、その中で私も気になっていた諏訪先生のお話が出ていました。諏訪先生が書籍を出版されていることを知らなかったため、早速注文しようと思っています。

 

鈴木先生は、入れ歯というよりも、舌の力が食べるためにいかに重要かということを、実例に基づき、お話をしていただきました。「すずめ歯科」でも、舌圧の検査をしたりしていますが、これからは20kPaより下だと、固形の食物を食べられなくなる可能性が高いということ、16.8kPa以下の数値ですと、命のリスクも高くなってしまうことをお話して、舌の力の重要性を伝えていこうと思います。

 

盛り沢山の内容で、長時間のセミナーでしたが、それぞれ違った視点で、総入れ歯について熱く語っていらっしゃいましたが、安易にインプラントを行うのではなく、入れ歯というものをきちんと理解していくことの重要性を改めて認識させていただける、とても勉強になる1日でした。

超高齢社会と歯周病

11/30に、松本歯科大学歯学部歯科保存学講座の吉成教授の「超高齢社会を生き抜く歯周病予防・治療の考え方」という演題の講演会に参加させていただきました。

 

吉成教授から、老化によって起こる問題と、歯周病との関連を中心に幅広いお話を聞かせていただきました。広範囲なお話でしたので、講演の中で私が気になった内容を列挙させていただきます。

 

・歯周病の悪化に大きな役割を果たすPG菌が、ラクナ梗塞(脳の細い血管で起こる梗塞)に関連しているということが分かってきた。

 

・健康な国としては、1位スペイン、2位イタリア、3位アイスランドに続いて、日本は4位というデータがあり、アジアでは最も健康な国と言われているようです。

 

・上の「健康な国」という内容に関連していると思いますが、世界の医療の評価で、日本はほとんどの分野でA評価とされています。喫煙率と関連していると思われますが、呼吸器系に関してのみC評価のようです。また、面白いことに、国民の自己評価はDのようで、日本人は自分達の医療が低水準と思っているのに反して、現実は世界的にも優秀な医療環境にあるようです。

 

・歯周病により、炎症が起こると、毛細血管の増殖が起こり、毛細血管を通り、菌が全身へ移動することで、「アルツハイマー型認知症」「がん」に関連しているということが分かってきたようです。

 

・「肥満」「高血圧症」「心臓血管症」といった生活習慣病が、認知症や転倒による骨折に影響し、そこから介護が必要になる状態へ移行します。生活習慣病には歯周病が影響しているとも考えられているようです。

 

・医科の先生は、歯周病の指標があまり分からないため、歯の残っている本数を指標にしているのですが、それでは病態が分からないので、医科歯科の共通認識にするための、歯周病の炎症の指標としてPISAというものが使われる予定。

 

・歯周ポケットが4mm以上(歯周病が進んでいる)の部分がある人の割合は、10 代でも、20代でも、さらにどの世代でも増加しており、以前よりも歯周病が進んでいる人が増えていると考えられるようです。

 

・加齢に伴い歯茎が下がると思われていますが、解剖学の先生は歯茎が下がるのは100歳でも1mm程度だと仰っているので、歯茎が下がるのは、加齢だけの問題ではないと考えられるようです。

 

以上の話を、私がまとめると、日本の医療は世界的にも高水準ではありますが、歯周病に関しては進んでしまっている傾向にあり、この状況では、生活習慣病の方も増加し、超高齢化の状況で、長生きはしていますが、寝たきりの状態の方が増加する恐れがあると考えられます。そうならないように、早いうちに対処する必要があるようです。

東洋医学と入れ歯

11/23に、「チェアサイドでやる 義歯の超カスタマイズ」というタイトルで、埼玉で活躍されている、技工士で鍼灸師の丸山先生から、入れ歯の調整についてご講演いただきました。

 

丸山さんについては、以前からお話を聞いていて、保険外の診療ばかり行っている歯科医院で、2つの資格を利用して患者さんに満足していただいていることは存じていたため、とても楽しみにしていたセミナーでした。

 

大学病院の歯科で、セラミックの被せ物をメインにやられた後に、鍼灸師の資格を取られて、実際に鍼灸師としても活躍し、現在は入れ歯と、鍼灸師の2つのステージで切磋琢磨されているというご経歴のようです。

 

はじめに、鍼灸師という立場から、東洋医学についてのお話をしていただきましたが、不定愁訴と呼ばれる、はっきりとした病気ではないけれども調子の悪い未病についての対応や、診断について東洋医学での考え方をお話ししていただきました。私は俗に言う、西洋医学としての歯科を学んできたため、東洋医学に関しては全く知識がなかったため、とても面白いお話だと思いました。特に、患者さんからのお話を聞いて、全身の状態を含めた病態を考えるというのは、実際に問診を行う際に利用できる考え方ではないかと感じました。

 

また、入れ歯に対して違和感を感じるのは、どうしてなのかということを、舌を中心に考えて対応する方法についてもお話をいただきました。入れ歯を窮屈に感じるのは、舌のスペースがないことが1つの原因です。

また、舌は発音や飲み込みにも関係するため、発音しにくかったり、飲み込みにくい場合には、やはり入れ歯の形を、舌を主役にしたイメージを持つことが重要だということを実感できました。

 

臨床的にとても有用なセミナーでしたが、一番盛り上がっていたのは、鍼を打ってみたり、体のコリなどの確認と、改善を鍼灸師の方が実際にやっている部分でした。

 

やはり、皆さん、知識欲があるので、知らないものを見たときには盛り上がるのだなと分かる光景でした。